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体に優しいごはんを楽しく、美味しく

2018.03.30 田村有香 | 「月待ち」店主

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デイトでオーガニック料理のワークショップを担当している田村有香さん。マクロビオティックの考え方をベースに、美味しくて、楽しくて、体も優しい料理やお菓子を日々、手作りしています。そんな彼女に、食べること、体のこと、大切にしていることなどを伺いました。

大学院卒業後、カフェ「月待ち」をオープン

子どもの頃からずっとなりたかったのは小学校の先生。なので、大学は教育学部に入って、大学院にも行きました。でも、学校という組織に入って働くことにあまりイメージが沸かなかった。私はもともと、みんなと合わせるっていうのがあまりないんですよね。空気を読まないというか(笑)それよりも自分の力で何かを始めるほうが性に合っている気がして、自分でお店を始めることに。カフェにしたのは、昔から喫茶店に憧れがあったからかもしれません。子どもの頃、父の会社の近くの喫茶店でよく父を待っていたんです。今思い返すと、そこで見ていた喫茶店の風景が原点なのかも。大好きな恩田陸さんの小説の中にも、主人公の高校生がおしゃべりや勉強をする場所として喫茶店がよく出てきて、「いいなあ、私も高校生になったら喫茶店で勉強するぞ」って思っていました(笑)

ふらっと寄れる塾のような場所を作りたい

そんなこんなで結局、先生にはならなかったけれど、今でも子どもと関わりたいという想いはずっとあるんです。たとえば、不登校の子が「今日は本を読んでみようかな」という時にふらっとやって来られるような、近所の中高生がテスト前に「ちょっとこれ教えて」って教科書をもってくるような、そんな場所をゆくゆくは作ってみたい。『ポーラを探して』という児童文学の作品があるんですけれど、お話の中に自由塾という塾が出てくるんです。自由な時間に来て、自由に勉強して、おやつタイムには全粒粉のクッキーが出てくる。私がつくりたいのはそんな場所です。そのために今は「月待ち」という場所をまずはしっかり続けていくことが大事だと思っています。

アレルギー、アトピー、喘息に悩んできた

マクロビオティックに興味を持ったのは、私がもともと健康オタクだったから。子どもの頃からアレルギー、アトピー、喘息に悩まされてきたので、体にいいことに詳しくなりたい、良いものは取り入れたいという気持ちがずっとあります。中でもとくに食に関心があったのは、母が栄養士だった影響もあるかもしれません。母は昔から、食事に気を配ってくれていました。また、実家には料理やお菓子の本がたくさんあったので、それを眺めては「これ食べたい」「これ作りたい」とねだって、それを母が作ってくれたり、母が休みの日には一緒に作ったりすることも。思い出の料理はエビピラフにホワイトソースがかかったものです。珍しいでしょ?我が家の定番で、私の好物です。

自由にケーキを選べる楽しさを

マクロビオティックの理論は大学在学中に、教室に通って学びました。健康オタクの趣味の延長という感じで。マクロビオティックに興味を持ったのは単純に自分の食の好みに合うから。アレルギー持ちだということもあるかもしれませんが、実は私、好き嫌いが結構あって。炭水化物が大好きで、肉を食べたくないから、マクロビオティックが合うんですよね。極めている人からしたら、そんな私は邪道なのかもしれないけれど、私は「マクロビすごいんですよ」「みんなもやろうよ」っていう感じではなくて、たとえばたまごのアレルギーがあってケーキが食べられない子が、当たり前のようにケーキを食べられればいいなって思っているんです。ケーキが並ぶケースを前に「今日はどれでも選んでいいよ」と言われて「いいの?いいの?」と目を輝かせている子を見るのがなによりも嬉しいんです。

マクロビオティックが一番ではない

だから、お店ではマクロビオティックを謳っていません。どんなイデオロギーであっても、押しつけることも、押しつけられることも良くないと思っているので。そのかわり、できるだけオーガニックなものを使っています。お店では「90%オーガニック」と言っていて、この残り10%の余白が大事だなと。100%完璧なものは、求められてもできないから。それでも食材はかなり慎重に厳選しているつもりです。本当はなんでも食べられるのが一番なんですよ。好き嫌いしないのが一番なんです。アレルギー持ちの子どもだって、大人になってなんでも食べられるようになったらそれが一番いい。だから、マクロビオティックが一番とも思っていません。何も気にせずに楽しく美味しく食べて、後から「あ、体にも優しいんだ」って気づいてもらうのが理想かな。

レシピも100%は目指さない

お店ではケーキやお菓子が中心ですが、デイトのワークショップではごはん系を中心にやっています。時々和菓子も。レシピを考える時はまず自分が何をやってみたいかを考えます。たとえばちまきを巻いてみたいから中華でレシピを作ってみよう、とか。生徒さんと一緒に実験を楽しむような気持ちでワークショップに臨んでいます。レシピも完璧は目指しません。料理ってレシピどおりにはいかないもの。レシピどおりにやったとしてもそれが正解というわけでもないですよね。どんな味になるのか、どんなものができるのか、すべてが分かりきらないから楽しいんです。過去に好評だったのはピザ。豆乳と葛で作ったモッツァレラチーズもどきを乗せて、焼きあがった時は一同テンションが上がりました(笑)

子ども向け料理教室もやりたい

今後はデイトでも子どもと一緒になにかできたらと思っています。この前「月待ち」で、親子で巻き寿司を作るワークショップをやったのが、とっても面白かったんです。海苔に敷き詰めたごはんの上に、お絵かき感覚で具材を並べる子もいれば、きっちりそろえて並べる子、好きな食材だけ使う子など、個性と価値観が顕著に出て本当に面白かった。デイトでもそんな風に子どもたちがのびのびと個性を出せて、楽しくて、体にも優しい料理のワークショップができたらいいですね。

 

Profile
田村有香 | 「月待ち」店主

マクロビオティックの考え方を基本とし、たまごや乳製品などの動物性食材や添加物を使わないケーキや焼き菓子が人気のカフェ「月待ち」の店主。「気どらず、楽しく、おいしく。」そんな気持ちをこめた、「90%オーガニック」の店で日々、手しごとと向き合う。

 

※デイトワークショップスタジオは、2023年2月28日(火)を以て営業を終了いたしました。

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